2009年6月26日金曜日

ウィルキー・コリンズ『月長石』創元推理文庫

 同じくコリンズの作品です。
 とっても長いです。700ページくらいあります。
 インドでなくなった黄色のダイヤモンドを手にしたある家族の物語です。
 よくある話ですが、このダイヤを手にしたものは不幸な運命をたどるという伝説があって、作品はこの伝説を前提にして進められます。
 語り手は、その家の召使(ストレスが溜まるとパイプと『ロビンソン・クルーソー』に逃げる)や姪の信心深い女性や弁護士やその他の人々の報告書や日記や手紙を継時的に並べるという手法で全体のストーリーが進んでいきます。
 さすがにいつまでたっても謎の解明が進展しないので300ページを超えたところでもう読むのを投げ出しそうになりましたが、せっかくここまで読んだのだからと気を取り直して最後まで読むことにしました。
 そして最後まで読んでよかったと思います。
 やっぱりコリンズらしさが出ていました。
 人生の中の本当の怖さが描かれています。
 前半の軽薄すぎるきらいのある小説の雰囲気はヴィクトリア朝のイギリスだからしょうがないのかなあと我慢して半分諦めていましたが、これも実は計算のうちだったのです。
 最後の100ページはとっても印象の強いものでした。これは読んでよかった。

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