2010年5月10日月曜日

セラピーをうける条件

 うちにいらっしゃるクライアントさんは総体としてみるとほとんどの方が重度の悩みや障害を抱えたかたです。おそらくは、カウンセラーによって来るクライアントさんのお話の中身の重さは違っているのではないかと思います。うちに来るクライアントさんはとにかく重い方がほとんどです。それだけにやりがいもあるのですが、いらっしゃるクライアントさんが癒しを進めていくにはそれなりの条件が必要だなぁと感じています。しかし、それは同時にこちら側の条件でもあって、もっと自戒とすべきことがらであると肝に銘じつつそのいくつかを挙げてみると・・・・・・
 まず、「追い詰められていること」これが第一の条件でしょう。追い詰められていないと、セラピーの途上ででてくるいろいろな記憶にたじたじとなってしまいがちです。そのうえ、出てきた自分の感情や記憶の大きさに恐れおののき、それを自分以外のもの(者・物)のせいにしてしまいがちです。
 概してお子さんをお持ちの方や配偶者がいらっしゃる方は、自分の感情や記憶の不快感を子供や配偶者に投影して楽になろうと(=自分は大丈夫であろうと)欲する傾向があるので、なかなか難しいものがあります。
 家族や身近な人間関係へ自分の無意識の捨て場をお持ちの方はそちらへの逃避から自分自身を見つめるところまで追い詰められにくいといえます。
 一口に「追い詰められる」と言っても様々ですが、「追い詰められた」方の特徴はとにかく自分自身を救うのは「今しかない」という切迫感からか道筋が一本道ですっきりしています。
 いろいろな意味の追い詰められ方がありますが、人間関係的にも精神的にも物質的にも追い詰められて初めては人は自分の行くべき道を自分自身の眼で確認できるのでしょう。
 二番目に大切な条件としては一番目と関連しますが、少々の感情や記憶の重さでも圧倒されないということです。いや、圧倒されはするのでしょうが、それにもめげず進むことができる、という点でしょう。意識が圧倒されても無意識のほうがどっしりと地に足をつけているので少々のことでは所期の決断を曲げることがありません。
 以上の二点はセラピーを受ける条件と申してよいかもしれません。
 もうひとつは、これはユング派の心理学者・カウンセラーの河合隼雄さんがおっしゃっていたことですが、「自分のやったことに対する反省というか罪の意識みたいなもの」が必要かもしれません。
 つまり、自分がやってきたことを自分がやってきたことと認めるだけの責任感を持てるということです。しかしこれも一番目と二番目に挙げた条件に関連することは言うまでもありません。
 

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