2010年5月10日月曜日

ウィルキー・コリンズ『夢の女・恐怖のベッド他六篇』岩波文庫

 この作品については前にも書きましたが、この本のどこかに「各人の家には必ず白骨死体がひとつや二つは隠されている」という文句で始まる短編があったように記憶しています。各家庭には他人にいえない秘密や家族が暗黙のうちに誓った秘密の犠牲者が存在するのです。
 ですからセラピーの途上で一番抵抗が強いのはこの犠牲者の白骨死体の秘密が暴かれることでしょう。
 しかしながら、その白骨死体というのは一人ひとりの胸の中に隠されている感情のことなのかもしれません。
 無意識は、日々、自分が家族の誰かを犠牲にしていることを知っているのです。

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