2010年5月8日土曜日

自分を傷つける嗜癖について

昔『ジョジョの奇妙な冒険』という漫画が少年ジャンプに連載されていました。大人が電車で漫画に読みふけっているのを見ると内心軽蔑している私ですが、当時はかくいう私も車内でこの作品に読みふけっていました。シュールでいてリアリズムを感じさせるこの作品は今読んでも新鮮な印象を残します。単なる冒険譚以上の何か無意識を刺激する内容をもっているように感じられるのです。
 すじはある意味で単純で敵を倒して最終的にボスキャラを倒して終わるというものですが、武器は登場人物の超能力がスタンドという精神力が具象化された異形のものの超自然的な存在です。いわば本人の超能力を視覚的に見えやすい方法で描いたのがこの作品です。敵もいろいろなスタンドを持っていて、どちらかというと不気味なスタンドが多く出現します。
 そんな敵のスタンドの中で印象に残っているもののひとつに次のようなものがあります。ふつう敵を本体を現さずに、スタンドだけを忍び込ませます。ひそかに攻撃するのが敵の常套手段なのです。そんな中でこの印象に残っているキャラは、無様にも最初に自分の姿を主人公たちに見せます。そしてぼこぼこにされるのですが、このキャラの不気味なところはぼこぼこにされた上に自分で自分をさらに傷つけるのです。いわば自傷行為ですが、あからさまな自傷行為に主人公たちはたじたじとなるのです。
 こうして自分をとことん傷つけた後に一旦姿を消します。しかし、このスタンドの攻撃が始まるのはここからなのです。呪いの人形を人知れず残していき、この人形に「しかえし」として主人公たちを執拗に攻撃します。復讐なので思う存分攻撃できるのです。
 このエピソードを見ていて、わが身の振る舞いを反省します。
 というのは、私は子供の頃、兄弟げんかせずに弟に殴られるばかりになっていてあとでその怒りを週根深いかたちでお返しするのが常でしたから。
 また、小学校2年生くらいのころでしたが、何かで癇癪を起こした私は自分が作って市の表彰を受けた紙粘土の人形の作品を破壊したのです。『ジョジョ』にでてくる呪いの人形使いのスタンドと同じことをしてきたのです。
 つまり一旦自分を徹底的に被害者の立場に置いたうえで相手への復讐を開始するのです。
 本当に性質の悪いやり方です。
 いつも怒りは自分や自分のものを破壊することに向けられました。しかし、それは本当の復讐を始めるためでした。
 パニックに陥ってときには自分を傷つけることで落ち着くというふうでした。
 今思うとこれは自分を正当化するのに実に都合のよい方法であったということができます。
 

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